FT-NIR近赤外分光によるプロセス測定

化学分野におけるFT-NIRアプリケーション

FT-NIR技術は、化学業界で幅広く利用されています。わずか数秒で測定されるNIRスペクトルには豊富な情報が含まれており、多くの異なる成分やパラメータを同時に高精度で分析できます。

ブルカーのFT-NIR近赤外分光計は、20年以上にわたり、化学業界の様々なプロセスを監視する目的で使用されてきました。反応槽のフィード部にある反応前の原料と反応終了時の生成物の品質管理に加えて、反応のリアルタイム監視は特に重要な分析過程となります。

化学業界におけるFT-NIRプロセス制御の適用範囲は、ポリマー合成から精製プロセスの監視まで、多岐にわたります。

反応モニタリングによって、プロセスの正確な制御が可能になります。例えば、重要な中間体を定量したり、副生成物を検出したりできます。反応収率を大幅に向上させたり、不良バッチの予防にもつながります。

さらに、インラインNIRソリューションにより、危険な試料を抜き出したり、分析装置に送液したりする必要がなくなるため、プラントオペレータやラボ担当者のリスクを最小限に抑えることができます。

ポリウレタン製造におけるオンラインモニタリング

ポリマー・プラスチック業界は、プロセス制御のために、迅速で信頼性が高く、非侵襲的で費用対効果の高い分析方法を必要としています。FT-NIR分光法は、他の技術と比較して、プロセスのリアルタイム評価を分子レベルで可能にするという明確な利点があります。

ポリウレタンは、ポリイソシアネートとポリオールの反応によって生成されます。ポリイソシアネートはイソシアネートを末端基とするプレポリマーで、ポリウレタン合成前の反応で生成されます。得られた製品に、反応に必要な反応性イソシアネートが残っていることを確認するため、NCO含有量が測定されます。 詳細については、アプリケーションノー ト「ポリウレタン製造中のイソシアネート量のオンライン・モニタリング」をダウンロードしてください。.

この反応において、使用するポリオールの水酸基価は、ポリウレタンの適切な配合のために重要なパラメータです。水酸基価は、ISO 15063:2011またはJIS K 1557-6に従って、FT-NIRで簡単に測定することができます。

FT-NIR分光法によるポリマー分析の詳細とパラメータ一覧は、アプリケーションノート「FT-NIRを用いたポリマー製造のプロセスモニタリング」をダウンロードしてください。

半導体製造におけるプロセス制御

半導体は今日、私たちの日常生活の一部となっており、その需要はさらに高まっています。競争力を維持するためには、生産プロセスを最適化し、規格外品の発生を最小限に抑えることが不可欠です。

FT-NIR分光法は、多変量解析と組み合わせることで、半導体製造の様々な工程の分析に最適なインラインツールであるとともに競争力の維持に貢献します。なお、半導体の製造には腐食の高い化学物質が使用されます。長期間の測定を保証するために、ブルカーでは、サファイア窓付きのPTFE製プロセスプローブを提供しています。

これによって、洗浄液、エッチング液、フォトレジストの現像、フォトレジストの剥離など、多くの製造工程でFT-NIRを使用することができます。

詳細とパラメータ一覧は、アプリケーションノート「FT-NIRによる半導体製造プロセスの制御」をダウンロードしてください。.

石油製品の品質管理

Cross validation results for the online prediction of RON content during the refinery石油精製中のRONのオンライン予測のクロスバリデーション結果(クリックして拡大)

原油や石油精製製品は、最も多様な炭化水素が複雑に混ざり合ったものです。近赤外領域では、C-H、C=O、N-H、O-H、S-Hの官能基の分子振動を観測することができます。スペクトル情報には、化学組成(例: PIONA)だけでなく、オクタン価、密度、蒸気圧などの燃料製品の物理的特性も反映されます。

これらのパラメータの多くは、多次元GC、オクタン価評価用テストエンジン、蒸留などに基づく、時間を要し高価で手間のかかる分析法で測定されます。FT-NIR分光法と多変量解析の手法を組合せることで、危険区域や爆発の可能性のある場所でも、信頼性の高いリアルタイム制御のソリューションを利用できます。

詳細については、アプリケーションノー ト「FT-NIR分光法を用いた石油製品の品質管理」をダウンロードしてください。.


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