FT-NIR近赤外分光によるプロセス測定

食品業界におけるFT-NIRアプリケーション

食品業界では、1970年代初頭に市販されたNIR穀物分析装置から今日の最新FT-NIR分光計に至るまで、実験室用の近赤外分光法が急速に普及してきました。

しかしながら、ほとんどの食品製造施設では、いまだに温度、流量、pHなどの単変量センサーを使用してプロセスを監視しています。しかしながら、これらのパラメータは、実際の食品の組成や品質を評価する上で、あまり適切でない場合がしばしばあります。

FT-NIR分光法は、原料・中間製品・最終製品の関連成分を監視することにより、スループットの高い製造工程のリアルタイム分析が可能です。

FT-NIR分光計を用いることで、様々な製造段階において、材料の同一性や適合性、定量的な化学組成に関する情報が得られます。特に、脂質・タンパク質・水分や全固形分など、重要な成分を複数同時に分析することができ、従来の分析手法に比べて、大きなコストメリットを得ることができます。

粉乳の製造

Dairy Analysis

粉乳の製造では、基準値の範囲内で水分含有量を最大にすることが求められます。オンラインFT-NIR分光計を使えば、水分量を非常に高い精度で監視することができるため、平均水分量を大きくすることができます。これにより、製造者は大きな経済的利益を得ることができます。

別の側面として、乾燥工程におけるエネルギー使用量があります。乾燥機をより詳細に監視することで、より効率的なエネルギーの活用ができ、さらなるコスト削減につながります。

さらには、脂質とタンパク質の含有量を常時監視できるため、規格外のロットが少なくなり、製品全体の品質が向上します。

食用油の精製と改質

Edible Oil Analysis

商業的に利用できる油脂の種類は、天然物由来のため非常に限られており、食品製造に必要な物理的・栄養的特性を満たしていないことがほとんどです。

分画、エステル化、水素添加などの改質技術は、主に油脂に含まれる脂肪酸組成を変化させ、食品業界の需要に適合させるために適用されます。FT-NIRは、脂肪酸組成、遊離脂肪酸、トランス脂肪酸、ヨウ素価、SFC(固体脂含量)など、油脂の物理的・化学的特性を監視することが可能です。

高品質な油脂を生産するためには、精製プロセスの綿密な監視と最終製品の検査が不可欠です。ブルカーは、ラボ用だけでなく、リアルタイムのオンラインプロセス測定用のFT-NIRソリューションを提供しています。プロセス測定により、分析結果が即座に得られるようになり、規格外製品発生時のコストのかかる再加工を回避することができます。

小麦粉の分析

Flour Analysis

灰分の分析は、製粉工程において不可欠であり、その値は工程の指標となっています。さらに、タンパク質やグルテン含有量といったパラメータは、品質適合性と収益性を高めるために、混合工程の最適化に利用できます。

これらのパラメータは、ふるいの後の混合工程の前に、覗き窓越しに設置できるEX規格のセンサーヘッドを備えた MATRIX-F II FT-NIR分光計を用いて、簡単にオンラインで評価することができます。

FT-NIR分光計による小麦粉の分析の詳細については、アプリケーションノートをダウンロードしてください。


詳細情報